幼稚園や保育園に入園すると、運動会や遠足をはじめ、様ざまな行事が目白押し。子供さんはもちろんですが、親御さんも「応援だ」「付き添いだ」と忙しくなることでしょう。

そこで忘れてはならないのが「子供さんの撮影」。一生懸命頑張る姿、友だちと楽しく遊ぶ姿を、あますことなくカメラにおさめておきたいものです。

今回取り上げる「お遊戯会」も、子供さんの成長を垣間見られる大事な行事のひとつ。運動会や遠足などの屋外行事より撮影条件は難しくなりますが、工夫や準備で会心のショットを撮ることも可能になります。

撮影条件がシビアな「お遊戯会」

写真撮影フラッシュ禁止に注意!

お遊戯会撮影コツ
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出典 https://www.flickr.com/photos/mujitra/15964591655/

 

屋外と比較すると、屋内での撮影はどうしても厳しくなります。 その理由は「光」にあります。外で写真を撮る場合、晴れていれば太陽(=明るい光)が出ていますから、よほど露出を間違わなければ大きな失敗はないといえます。

一方、屋内で光を得ようとすると、室内の照明が頼りですが、基本的に蛍光灯や電灯は、写真を撮るための光ではありません。そのため、設定を変えて色かぶりを防いだり、暗いのでフラッシュや別の光源(カメラに付けないストロボなど)を準備することが必要になります。

 

「お遊戯会」の場合、会場は「教室」または「体育館やホール」が多く、通常は園の体育館(狭いところは近所の小学校の体育館や市民ホールなどを借りる)がメインのようです。国際試合の行われるような体育館なら別ですが、教育施設の照明は撮影に向いていません。

また、お遊戯や劇をやるときは、演出によって舞台が明るかったり、暗くなったりします。それに加え、上演中は「フラッシュ禁止」というケースもあります。このような中ではカメラの設定を変えるだけでなく、特に初心者にはお遊戯会写真撮影自体が難しいといえるでしょう。

お遊戯会撮影は可能であれば「一眼レフ」で出陣

明るい望遠レンズがおすすめ!

お遊戯会撮影コツ
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出典 https://www.flickr.com/photos/donfuan/7665845240/

 

このような条件下だけに、お遊戯会の撮影には「一眼レフ(ミラーレス一眼レフ)」が最適だといえます。

レンズ交換ができ、撮影状況に応じて設定を切り替えられる一眼レフであれば、会場や舞台の様子を見ながらベストの設定で写真を撮ることができるからです。

 

☆一眼レフ(ミラーレス一眼レフ)ならクリアできる「お遊戯会撮影」のトラブル

・会場が暗いのにフラッシュが使えない:ISO(感度)をあげる、明るいレンズを使用することなどで、フラッシュがなくても写真が暗くならない

・後ろの席で舞台が遠い:望遠レンズを使えば、後ろからでもお子さんだけをとらえることが可能。

・踊っている(動いている)姿を撮るのが難しい:一眼レフなら、シャッタースピード優先モードで動きを追うことができる。また「連写機能」を使えば、撮り逃しが少ない。

・撮れてもピンボケ写真になってしまう:被写体に応じて「フォーカスモード」「フォーカスエリア」などを選択できるので、大きな失敗をしにくい。

 

「お遊戯会」に適した露出、ISO感度、シャッタースピードは、会場や舞台装置、お子さんが出演する演目によって変わります。屋内なら、まずISO感度を400以上(ただし、800以上になると画質が荒れるので注意)に設定して、露出を解放、それに合ったシャッタースピードで撮影するのが基本です。ここで、シャッタースピードが遅すぎる(125分の一以下)と、被写体はぶれやすくなります。その際は、ISO感度を上げる、望遠レンズを使っていたら近い距離にして、シャッタースピードを稼ぐといいでしょう。

なお、このような設定は一眼レフ普及機にも大体ついています。高い機種が購入できるのであれば、それに越したことはありませんが、撮影のために何かを購入するなら、 明るい望遠レンズ(可能であればF値2.8)がおすすめです。

 

一眼レフがいいのはわかっていますが、どうしても「コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)しか使えない」こともあるでしょう。そこでコンデジでも一眼レフでも、「お遊戯会」で良いショットが撮れる工夫やアイディアを紹介したいと思います。

お遊戯会写真撮影はベスト・ポジションを勝ち取れ

少し早く家を出ましょう!

お遊戯会撮影コツ
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出典 https://www.flickr.com/photos/kasadera/635588970/

 

幼稚園、保育園の行事を上手に撮るためには、「場所取り」がすべてと言っても過言ではありません。現に運動会やお遊戯会になると、「開門ダッシュ」で目的の場所をキープ。シートで場所を確保するのが当たり前になっているといいます。

大家族で来る人も少なくないようで、子供が出る競技に合わせて来園しても「満員状態で入場できなかった」という話もあるようです。あまりに場所取りがヒートアップしているため、幼稚園や保育園の中には、当日の来場人数を事前登録し、入場に制限をかけているところも増えています。

 

お遊戯会の場合、すべての演目を見る人はそれほど多くないため、自分の子供の出番が終われば、大体は入れ替えになります。とはいえ、良い場所を確保しておくに越したことはありませんから、出演時間に余裕を持って会場へ行くようにしてください。

 

また、「事前の予習」は必須。当日のプログラムには、必ず目を通しておくようにしましょう。また子供さんには、「どんな演目に出るのか」「舞台のどのあたりにいるのか」などを聞いておくのがおすすめです。そこから、動きのある踊りなら「速いシャッタースピード撮影が必要」といった、当日の撮影状況を予想することができます。

 

当日のポジションですが、まず子供さんが会場のどこに登場し、演目を行うのかをチェックし、その場所を確保したいもの。ただし、客席の中に入る場合、「カメラが前後左右のお客さんに当たる」ほか、周囲の邪魔にならないよう注意が必要です。また客席からの撮影は舞台に高さがあると、被写体を下からあおるケースが少なくありません。そのため、せっかくの表情がとらえられないことがあるのです。

 

そこでおすすめなのが、 客席の端(左右はお子さんの立ち位置に合わせて)をキープすること。前よりは真ん中から後ろがよいでしょう。端の席だと周囲の邪魔になりにくく、状況によっては席から自由に動いて、別ポジションから撮ることも容易になります。後ろからの撮影ということもあり、カメラはできれば一眼レフに望遠レンズの組み合わせがベスト。コンデジを使うのであれば、望遠付き、レンズが明るく高速シャッターが切れるものを選びましょう。ISO感度を変えることができれば、さらに失敗も少なくなります。

 

一眼レフ、コンデジ共に、会場で三脚(または一脚)が使えればなお可。光が少ない(暗い)ことが多いので、手ぶれを起こさないためにも用意しておくといいでしょう。

失敗を恐れずシャッターを切ろう

限られた時間なので躊躇なく撮影!

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出典 https://www.flickr.com/photos/42407429@N00/10248939/

 

普段カメラを使い慣れていない、天気の良い(雨が降っていない)ときしか写真を撮らない人にとって、明るさが足りないところで撮影するのは正直骨が折れることです。暗いところではオートフォーカスとはいえピントを合わせにくく、さらに動いている被写体をきっちり止めるのはかなり困難だといえます。

 

これを解消するには、「とにかくシャッターを切ること」です。ブレてもピンボケでもかまいません。チャンスだと思ったら、迷わずどんどんシャッターボタンを押しましょう。また、カメラの「連写機能(シャッターを押し続けると、ピントを合わせながら被写体を追う)」「録画機能(簡単なムービーの撮影が可能)」は、あれば必ず使いたいところです。

もともと、屋内のコンサートや演劇を撮影するのは、プロですら難しい条件。 「ベストショット」にこだわらず、「グッドショット」を狙い、バンバン撮影することで、「結局何も撮れなかった……」というトラブルを回避することができます。多少ピンが甘くても、最近は画像ソフトで修正することも可能です。とにかく枚数を押さえておきましょう。

 

ただ、枚数を撮るということは、それだけメモリが必要であるということです。途中でメモリ切れにならないよう、予備は必ず持参するようにしてください。

動画も押さえておくと安心

保険のビデオを固定撮影!

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出典 https://www.flickr.com/photos/mujitra/11147915124/

 

いわゆる静止画カメラのほかに、動画の撮れるビデオも持参すると安心です。ビデオは定点固定で撮影、手持ちのカメラであらゆる角度から写真を撮る二本立てなら、カット数(録画時間)も増えます。

気を付けたいのは、 三脚で固定したビデオが倒れないようにすること。できるだけ人が通らない、ぶつからないような場所に置くようにしてください。

周囲の状況や演技前の様子もチェック

素の表情が撮影できます!

お遊戯会撮影コツ
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出典 https://www.flickr.com/photos/kasadera/323441931/

 

子供さんのイベント撮影は、どうしても当日に気持ちが集中してしまいがちですが、 「お遊戯会」のみならず、その前後の写真を撮っておくことで、子供さんのアルバムはさらに充実します。

たとえば自宅で一生懸命練習している姿、当日着る衣装(衣装を合わせている姿)、お遊戯会のプログラム、当日の幼稚園の雰囲気(お遊戯会の看板、会場に集まる父兄の姿、担任の先生、園長先生など)、またお子さんが出演する演目だけではなく、開会式、閉会式、可能であれば出演前の様子などもおさえておくといいでしょう。

準備したいもの、あると便利なもの

三脚・メモリ・バッテリーは必須アイテム!

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出典 https://www.flickr.com/photos/freeho/5935474130/

 

お遊戯会当日に準備しておきたいものをまとめてみました。

一脚、三脚:ピンボケ、手ぶれを防ぐ。会場の大きさ、当日の進行によっては使用禁止の場合もあるので必ず許可を得ておくこと。

予備のメモリーカード

可能な限りシャッターを切るためにも、予備のメモリは必須。容量の大きいもの、転送速度の速いものがおすすめ。

 

予備のバッテリー

連写機能などを使うと、意外なほどバッテリーを食うことがある。途中でカメラが動かなくなることのないよう、予備のバッテリーを持参しておくこと。

 

小さなLEDランプ

上演中の会場内は暗いことが多いので、手元を照らすために用意しておくと便利。あまり明るいものは周囲の迷惑になるので選択に注意。

 

座布団

会場によっては椅子の用意がなく、床に直接座ることもある。スリッパに加えて、小さな座布団を持参しておくと、機材の保護(直接床に置かなくてすむ)にもなる。

 

お遊戯会には入れ代わり立ち代わり、多くの人が来場します。ですから、会場でお店を広げ、他の人に迷惑がかからないよう、当日持っていく機材はコンパクトに、できる限りひとつにまとめておくことをおすすめします。また、演目はめまぐるしく変わり、来場者の移動が頻繁にありますから、 撤収するときは忘れ物に注意するようにしましょう。